ああっ、ちょうど月刊誌と同時期の露出になってしまったけれど、これを納めないことには前に進めないというわけで、先の6/14〜16日までスペインはバルセロナで行われたソナーミュージックフェスティバルに<ロマンチカ>が出演した一部始終をレポートざんす。
もともと、昨年秋に恵比寿ガーデンプレイスで行われた、sonarsound tokyo 2006に東京ならではのコンテンツを、ということで、強力プッシュさせていただいた<ロマンチカ>、来日していた本国のオーガナイザーの目にとまって、今回、招聘の運びになり、私は先の自主公演と同様、プロデューサー同行したのだ。
バルセロナのソナーは、日中、中小の会場も多くあるのでそのうちのひとつかな、と思いきや、なんと、海岸とかくの巨大見本市倉庫で行われる、夜の部の出し物のひとつだったのでびっくり仰天。ビジュアルとサウンドに特化されたセクシー・ガーリーショウを行う<ロマンチカ>には、コンサートと異なりかなり精緻で複雑な照明と音響のマッチングが必要だが、あえてフェスと割り切って再ショウ化すると決めたのだが、それでも事前の打ち合わせは大変で、スタッフの望月君はコレで英語を覚えたのでした。(ほとんど、ショック療法か!)
夕方に到着し、チェックインをすませてから、まずはドレスアップして、関係者の前夜祭パーティー。レッドブルのスポンサードで湾岸の船員クラブがしゃれた会場になっている。去年までは取材するジャーナリスト、今回は招かれる側になったわけだが、オーガナイザーのエンリック・パラウやグラフィックデザイナーのセルジオ、プレスのジョージアなどと旧交を深める。
翌日は事務手続きをして、ソナー見学および観光。バルセロナは今、空前のバブルであり、ソナーの会場がある現代美術館まわりは、四年前には静かなローカルエリアだったのが、カンペールをはじめとしたファッションブティックやカフェなどが立ち並ぶ、流行発信基地となっている。行けば必ず立ち寄る超ジモティーな、通称「おやじの店」は付近のオッサンがサッカーを見に集まってくるバール。今回もいったが、ここは未だに時間が止まっている。スパニッシュオムレツとコーラを一杯。うまい! と言いたいが、そうでもないところがまた、いいんだよねぇ。
1:アヤちゃんと馬谷さん。前夜祭パーティーで。
2:初の会場入り。
3:横町さんと私。前夜祭にて。
翌日の午後はリハーサル。昼間にこの空間を見るのはもちろん初めてだが、本当に大きい。飛行機が10台格納できそうな勢いだ。ステージでの場当たりが始まると、出入りしていたスタッフの男連中が足を止め、釘付け状態。そりゃそうだ。地味〜なDJ男連中のサウンドチェックに突如として東洋の神秘セクシーダイナマイトが登場するのだから。ケータイで写真を撮りまくっているが、コレが口コミ宣伝になれば御の字です。やはり照明のタイミングが現場に伝わっておらず、急遽、望月君が張り付きでヘルプに入ることになった。大丈夫か、望月。英語ショック療法第二弾!
いったん帰って、各自休憩。何せ、スタートが午前三時なので、小寝しておかなければ身が持たない。深夜12時、メイク各自終了後、ピックアップ車に乗って会場入り。一番早くロビーに降りてきた激メイクのアヤちゃんといると、これから営業に行く、コールガールの元締めみたいな気分になってくるっす。
さて、本番。
オルターエゴの「Tubereaction」のキャッチーなサウンドが空間を満たすと、人々が会場にどんどん入ってくる。飴屋法水の手になるこのセットの選曲は、本当に「古びないエレクトリックミュージック」のコンピのごとし。いや、しかしながら、デジカメとケータイの嵐! これほどまでのラッシュは昨年にはなかったことで、まったく、デジタルのスピードは超速すぎ。コーネリアスの小山田君も言ってましたが、ツアー中どこにいってもこういう光景が見られるという。そんで、次の日のU-TUBEにアップされちゃう、ってわけです。
トラブルもなく、あっという間にステージは終了。楽屋でみんなでお疲れ様乾杯。あとはフリータイム! 会場をフラフラしていたら、プレスパスを首から提げた女性に声をかけられて、「エクセレント! ロマンチカ」のお言葉。男性のデジカメねらいは目立ったけれど、実際には女子の方に圧倒的にウケる、というこの図式は日本と全く同じである。
1:サンジュセップ市場のバールにて食事
2:ただの魚介ソテーだけど塩とオリーブオイルが旨い
3:美女発見!
翌日は取材タイム。
<ロマンチカ>の面々は全員、ソナーのタンクトップを着て、プレス口の中庭で取材を受ける。取材はまずは、スペインの「PLAYBOY」誌。記者の質問は、けっこう本格的で「日本人独特のセクシュアリティー感覚」について、多角的に質問が来る。お次は国営テレビ。どうせテレビだし、とたかをくくっていたら、このインタビューアー、異様に日本のサブカルに詳しく、「浜崎あゆみの無表情イメージとロマンチカの類似性」なーんていう質問がバンバン出てきて、なんちゃって通訳としては焦りまくる。なんでもこの人、日本のアニメファンで日本によく旅行に行くそう。
実は昨晩の舞台がいち早く、ソナー関連のニュースで放映されたらしく、メンバーは街で「見たよ!」と声をかけられたらしい。
そして、ソナーのラスト日。この日観た、<バーニングスターコア>、<プランニングトゥーロック>はヒット! 特にバーニングスターコアは、「あっ、ノイズなら結構・・・」と会場を立ち去ろうとした私の全身をわしづかみ。破壊と想像や反体制といった文脈で語られるよく知ったアレ、ではなく、音に非常に音楽的なニュアンスがあるのだ。私がよく言うところの、環境を区切りそしてつくる建築的な音響。まさにそれでしたね。<プランニングトゥーロック>はチックスオンスピードのレーベルから出ている女性アーティスト。映像がおもしろい。ラス・メイヤーの「プシーキャット、キルキル」を換骨奪胎しみたいな感じ。舞台の上で、ガンダムちっくもしくはバリ島由来みたいな仮面を付けるのがヤバかった。ビョークのアングラ、ともいえるかも。とにかく、今回、私にとってノイズ元年とも言えるツカミあり。翻って、デビット・リンチの「インランド・エンパイヤ」の音響にも通暁する地下水脈発見だったのだ。
なんと、2004年に北京取材で出会った、彼の地のひとりテクノ伝道者である、クリスチャン・ビラントと再会。今回FM3名義でご出演の彼。上海と北京ならば、絶対に北京の方がシーンがおもしろいというのは当時の感想だったが、実際、今北京は相当おもしろいことになっているみたい。一度、行かねばなるまい。
クリスチャンに言われて気がつく、そういえば今日、DEVO。みなさんとの夕食をすっ飛ばして、ひとりDEVOにゴー。いやー、盛り上がったよねー。初武道館にも行っている私にとってDEVOはまさにマイ「少年時代」。しっかし、まあ、ステージのメンバーの方々、かつては細面のテクノカット美少年だったものの、ビール腹の野球観戦オヤジに変貌している。まあ、こっちも同じなんだけどさ。曲のすべてを今でも歌えるという自分の記憶の凄さにも驚いたが、振り付けまで覚えているんだよー。フロア中約三人、そういった完璧中年ファンを見つけ、お互いに「目と目で通じ合う」熱い絆を感じたのだった。
DEVO後に聞き覚えのない「湯山さーん」という声。ななんと、電通のコピーライター倉成君の姿が!何でも会社の短期留学制度でバルサに来ているという。この人とはヘンな飲み屋で出くわしたり、ヘンなところで会うんだよね。
ともあれ、こんな感じで、2007ソナーの日々は大団円だったのでした。
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