芸術家とはつねに自分に耳を傾け、自分の耳に聞こえたことを、自分の心の隅に素直な気持ちで書き留める熱心な労働者である。
ドストエフスキー
今回はゲストに、実父である湯山昭が登場。およそ、この日本でピアノを練習したほとんどすべてのお子さんと大人御用達の曲集『お菓子の世界』(何と現在までで135版を刷新! )をはじめとして、合唱曲、童謡などのいわば、日本の「クラシック・リアル大衆分野」で活躍し続けている父・昭とのトーク&リスニングの夜です。
「子どものための」とうたわれてはいますが、ドビュッシーやバルトークを彷彿させるような複雑系。キャッチーでリリカル、そして都会的なメロディーが魅力的な湯山昭の音楽。
思えば、私が生まれる前から、そして子ども時代にいつも家中に鳴り響いていたのが父の音楽であり、気がつくとその「音楽」が、席亭自らのすべての芸術表現に触れる時の基準になっているという事実。(バート・バカラックを同根として、フランス近代音楽は兄弟姉妹、民謡ならばホーハイ節、といったような…)
男声合唱の恐るべき官能性と暴力性が表現された『ゆうやけの歌』、個性ある楽器のぶつかり合いに、クールと幽玄が立ち上る『マリンバとアルトサクソフォンのためのディベルティメント』、フォーレもかくやというメロディーの嘆美に酔える「 ヴァイオリンのための『小奏鳴曲(ソナチネ)』などが、ぜひ、爆音でプレイしてみたい湯山昭の世界。
参考資料↓
マリンバとアルトサキソフォーンのためのディベルティメント
こんな美形パツ金がふたりで、と思わずひっくり返っちゃった。ちなみに、レコーディング時のサックスは渡辺貞男で、小学5年の私は強力に彼を推した記憶がある。レコーディングスタジオに遊びに行きましたねー。
ピアノ曲集「お菓子の世界」より「バウムクーヘン」
圧倒的に人気の曲。お子さんから、大人まで、いろいろアップされている中で、出色の演奏。
混声合唱とピアノのためのバラード「コタンの歌」から「船漕ぎ歌」
バルトークっぼい。湯山家ではいつもこれがかかっていたなあ。
その音楽の魅力を、クラブミュージックもロックもこの身を通ったオトナになってから分析すると? という批評に加え、家の中にひとり作曲家がいる、ということは、どういうことのなのか、という評伝的興味までを語り、たっふり聴いていきます。
教養としてのクラシックではなく、ドミューンに親しんだクラブ耳を持つ人にこそ体験してほしい、この爆音音浴。生演奏がデフォルトだけれど、録音とオーディオという現代のテクノが入ってこその、音と脳と身体とのセッションを堪能して下さい。
●予定の曲目たち
・男声合唱「ゆうやけの歌」
・混声合唱とピアノのためのバラード「コタンの歌」
・マリンバとアルト・サクソフォーンのためのディヴェルティメント
・子どものための交響組曲
・女声合唱とピアノのための組曲「葡萄の歌」
・女声合唱「愛すること」
・ピアノ曲集「お菓子の世界」
・童声合唱「四国の子ども歌」
・声楽「子供のために」
・ ヴァイオリンのための『小奏鳴曲(ソナチネ)』
・童謡「あめふりくまのこ」
***************************************************************************
Yuyama Reiko presents
爆クラ <第16夜>「父と娘の音楽 ~湯山昭」
10月17日(水)
音楽実験室 新世界【六本木通り沿い。西麻布と六本木の間、ディスコa-lifeの並び】
door open 18:15
start 19:00
*ゲスト高齢のため、通常よりも一時間早い開始となります。
料金;¥3,000+ドリンクオーダー
¥1,500+ドリンクオーダー(学割)
予約をぜひ!
http://shinsekai9.jp/2012/10/17/bakukura16/
106-0031 東京都港区西麻布1-8-4 三保谷硝子B1
Tel:03-5772-6767 Fax:03-5772-6797
[email protected]
http://shinsekai9.jp
ゲスト
湯山昭(ゆやまあきら)
1932年生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科に入学。池内友次郎に師事。在学中よりNHK・毎日新聞社共催の音楽コンクール(現在の日本音楽コンクール)に連続して入賞し頭角を現した。主な作品に芸術祭大賞を受賞した合唱組曲「コタンの歌」や「マリンバとアルトサクソフォーンのためのディベルティメント」などがあるほか、「あめふりくまのこ」「おはなしゆびさん」に代表される多数の子どもの歌があり広く愛唱されている。また、現在135版という楽譜セールスでは比類の無い売り上げを記録しているピアノ曲集『お菓子の世界』をはじめ、多くの合唱曲などを通じて、クラシック音楽分野において、最も人々に愛された楽曲の数々は、フランス近代音楽の香気に満ち、斬新で都会的なメロディーラインと、リズム感覚に溢れている。2003年、旭日小授章・20121月には、ウィーン楽友会館ホールにて、湯山昭作品の個展演奏会が行われた。
最近のコメント