先週末の菊地成孔 ペペ・トルメント・アスカラールinすみだトリフォニーホール。結論。もうもう、このユニットは湯山の大好物。ウォン・カーウァイの「欲望の翼」やベルトルッチの「ラストタンゴ・イン・パリ」の手触りを音楽のみで表すならば、現時点で最強布陣。この手の美意識軽音楽は、「もう、ここでそのまま毎回鳴っていてくれればそれでよし」という閉じた世界で先鋭化して行くのが常で、もちろん、私もそれで充分と思っていたのだが、さすがに勝ち気なナルちゃんだ! 今回、キップ・ハンラハンの手になるもの凄く直裁にエロい素晴らしい歌詞と美メロの新曲に、シミラポの若い兄ちゃん(黒人とのハーフかいな?)のフレッシュな身体と肉声を得て、密室の秘め事のカーテンを破って、これまた私好みの闇夜のアオカン分野(何のこっちゃ)に、その快楽の触手を広げましたぜ。菊地成孔が一貫して追求してきた、ボリリズムが"ペペ"バージョンとして炸裂した後半は、ストリングスとハープのレゾナンスの美を片っばしからリズムが蹂躙し犯していく、バタイユ上等! な快楽が深淵を覗かせる。ああ、この先を見てみたい。ちなみに、今回、鳥越啓介のベースの上手さにも驚愕。すみだだからきっちりと聞き分けられたのだが、手数が非凡でグルーヴィー。そして、そのたぎる心身を、錦糸町はタイ料理の名店「ゲウチャイ」のこれまた大好物の激辛ナムウンセンで慰めたのでした。
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