無頼派の一人で、ブロレタリア劇作家として知られる三好十郎の戯曲を長塚圭史が演出した『浮標』@世田谷パブリックシアター観劇。いやー、これはもう絶対に見ておいた方がいい一作。現在百花繚乱のエンターテイメントも、気分がアガりましたし、癒されました系のモノから、このセンスに一票系、知的快楽系と刺される針の深度があるが(分かりやすく例えてますが)、長塚演出作品は常に、人間の生死に関わる急所経絡に太くて深い針を確実に打ってくる作家。ここに描かれる、死生観は非常に古典的かつ普遍的で、「良く知っている」ものなのだが、もはやそれはテレビの良質なドラマなどでインフレ状態。「人は死ぬけど、それまでは命を燃やし尽くせ」というひとつの真実を響かせるには、時間にして4時間、ここまでの言葉と役者のエネルギーを使わないとダメ、という凄まじい実例。戯曲も凄くて、エピソードとしてたち現れる、セックスと男女関係、金問題、芸術問題など何一つとして古くなっていない。プロレタリア文学、ヤヴァいぜ。30日までなので、仕事を休んでも観に行くべし。
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