今回、ロスに到着したとたん、間髪入れずに、8時間ドライブにてアリゾナの砂漠を突っ走って、セドナに行ったのですが、乾燥して、広大な土地のあり方はもう、日本と真逆です。 つくづく思ったのですが、こういう環境ならば人間は”愛”を猛烈に希求するんでしょうね。家族とか、子供とか、愛情集団を自分の手で養って行かないと、生存の危機に瀕しちゃうわけです。 なので、その反対でわんわん自然が豊かで饒舌な日本は逆に”愛”が栄養毒になる嫌いがある。こっちでやたら夫婦仲がよくて常にいっしょのカップルがうさんくさく見えるのは、やっぱり正しいわけで、日本におけるひとり行動、孤独はむしろまともな行動であるといえる。 さて、いろいろと面白かったロス旅、まともに書くと長編になっちゃうので、以下、ビジネス書のごとくのトピックまとめ。ツイッターつぶやきは右の欄をご覧下さい。 ●セドナ 再訪だと二日目まで思い込んでいた間抜けぶり。前に行ったのはサンタフェだったのよ。とにかく、ルパンの奇巌城みたいな奇天烈な岩山が凄い。鉄分の多い赤茶けた山と真っ青な空とサボテンや潅木の緑、というシンプルぶりは、やっぱり、いろんな植物がわさわさ茂って、鳥とか虫とか生物の気配が濃厚なニッポンの里山の対極。ベルロックトレッキングでちょいロッククライミングして、昼寝デトックス。これで、ゼロ年代の毒気は完全に抜いたぞ! ホテルは”Sedona Rouge”。チェックイン時にフロントマンがにやっと笑い、値段据え置きでダブルベッドスイートにアップグレードしてもらっちゃったのは、私たちが中年レズカップルに見えたからなんでしょうか。行きつけにした”chocola tree cafe” http://www.chocolatreecafe.com/は、下北沢感覚バシバシの典型的オーガニックカフェですが、ど根性が入ったビーガンフードは目から鱗。ナッツとアボカド、アルファルファ遣いがもの凄く上手。ターコイズ系のアクセサリーを気が狂ったように購入。帰国後、黒い毛皮帽子とインディアンジュエリーをつけて、黒い森ガールとしてデビューするのだ。ストーンマッサージ&スパもよかったなー。砂漠の中での露天スパは、マサイマラやモロッコと同様、ものすごーくギルティー・プレジャーなのだ。
ちなみに写真の一番下は、プレスリーの映画のバックにこの穴がつかわれてとこらしい。二日目のジープツアーにて。
●ホットヨガと筋トレパーソナルトレーニング
西原みん&曽根裕夫妻(以下、NS)が日課としているエクササイズを体験。まずは、マルコ先生の筋トレですが、これはもう、往年のバスケ時代のそれを思い出し、体育会系の血が騒ぎました。しかし、街場にこういうプライベートなジムがあるのは良いですね。
センセイの話だと、私は基礎体力と筋力があるので、筋トレを続ければすぐに体重は落とせるとのこと。お次はホットヨガ。実は私3年ほど普通のヨガに通っていまして、タカをくくっていたら、これ、死ぬかと思った。とんでもなくハードで、マジで「フルメタル・ジャケット」の新兵訓練か思ったよ! NS夫妻はこれ、5年も通っていて、特に曽根君のあのダンサーのような肉体美の理由が分かった。「身体を作っておかないと、創作活動がいろいろと鈍って行く」と申しておったが、御意。「コストと時間をかけてもエクササイズは優先すべき」にも御意御意! 食べ歩きしている場合じゃねぇ(と、今は思う)。
●岩井俊二宅訪問
2年前から、ロスに拠点を移して活動いる、ご存知、映画監督の岩井俊二さん。西原がかつて私が編集した監督の「四月物語」書籍パンフでもの凄くいい評論を書いてくれたこともあり、東京でお引き合わせしたことが縁で彼らの交流が始まっているのでした。
ソーテルヌにあるご自宅マンションは新築で、ザッツLAライフの広さと美しさ。鍋をつつきながらの話題は、なんと山岳映画の「劔岳 点の記」。曽根裕は自分の剣岳体験から、また、岩井俊二は黒澤組や「八甲田山」の凄腕撮影監督として監督、木村大作について各々論説。問題は「前人未到の山」のリアリティーを現場でどこまでだまし通せるか、で、曽根君が「頂上には石碑がどどーんと置いてあるはずで、それをよけるために、頂上シーンなのに斜めになっているのがバレた」と指摘。そして、「テッペンには、シラケるものが置いてある」と、訳の分からん名言も。しかし、まあ、現代美術の曽根裕と映画の岩井俊二という、全く、芸風の違う、しかし、同時代の才能が今、ロスを制作拠点としていることの意味は、つくづく大きいと思いますね。分かりやすく言えば、昔から草食男子野郎の天下であるニッポンの文科系(最近、大学周辺に集い出している)において、数少ない肉食系(まあ、二人ともモテるタイプでもある)は荒野を目指す、ってことですかね。
●囲碁
漫画「ヒカルの碁」にハマって以来、どうしてもやらねばならぬ、と思っていた碁。ネットでやったりもしたのですが、どうもようわからん、ということで、NS夫妻の長男、麟君(16歳、数学天才)に指導碁をしていただきました。いやー、どうしても、オセロの刷り込みか、コマ取り合戦になってしまっていたのが、やっと二眼と”囲む”感覚をつかんだぜ。ツイッターでもつぶやいたけど、チェスとか将棋とかの対戦コマ取りのゲームとは趣が違う不思議なシロモノっす。しかし、東京では麟君がいないわけで、だれか、個人コーチやってくれないかね? 小学生のベビーシッターがわりに、日曜日一日ウチに預ける代わりに、指導碁をしてもらう、とか。
●LA MOCA「MOCA's First Thirty Years」 ロスアンジェルス・コンテンポラリー・アートミュージアムの「30年展」を、出品作家である曽根裕自らのレクチャーガイダンス(なんという、贅沢さ!)で堪能してきました。ポイントは「今まで、誰も考えつかなかったコンセプト、表現をなし得た一番最初の人」ということ。まあ、私は先日椎名林檎の「能動的三分間」にポップスのそれを見いだしたわけですが、これは現代美術のその歴史軸がわかる大変にエデュケーショナルな展示でした。凄かったのが、ビル・ヴィオラの”Room for st.John of the Cross ”。前日、劔岳話で盛りあがったからかもしれませんが、荒れ狂う自然、に、対する文明の必死さとしたたかさ、鬼は外、福は内感(てな感じの)もろもろが全く隙がなく配置されている恐ろしく精度の高い作品。ゴードン・マッタ・クラークの切り取り床材は「あっ、その手があったのね」系の驚きがありましたし、クリス・バーデンは動力機械すべてが持つぞくぞくするような肉感性(ガンダムやトランスフォーマーにも同種のものがある)をコレ一発で表していました。
http://www.moca.org/
(左)クリス・バーデン(右)G/Mクラーク
●買い物戦利品 アメリカン・ラグ・シーで、50'sの赤と白ビーズのカーディガン(このあたりコレクター)とスカーフ。もともとはビキニラインにつけるクリームが、美容ライターの手により一躍フェイスクリームとして脚光を浴びたという、CHAFING RELIEF POWDER GEL(これ、マジで良いですよ)、ヘインズのパンツ、セドナではホワイトセージにインディアン・ジュエリー、オーガニックのピーカンバターなど。
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