三冊目になる著作『女装する女』が新潮社より新著の形で出版されました。
ななんと、さっきアマゾンのランキングを見たら、五位に上がっていてびっくり! 売り上げ初日の初動がいい、と聞いていたし、今日、取材で会った編集者が「朝、平積みになってたのが、夕方にはざっくり減っていた」という証言有りだったのですが、コレはちょっと嬉しすぎる数字です。
寿司、クラブカルチャーときて、今度のテーマは女。マニアの世界からとうとう本丸攻め、という感じなのですが、スタジオボイス誌でも「女はつらいよ!」っていう女ネタ、やっていたし、アンアン誌にエッセイを載せてもらってたりしたり、で、わりとお声掛かりが多いジャンルだったんですね。
一年半ばかり前、博報堂アーキテクトの社長、大谷研一氏から、「現在の女性のインサイト欲求」を浮き彫りにして、コンテンツ開発に役立てたい、というお話しを受けたのが執筆のきっかけ。考えてみればこの夏は休みをとらず、土日はこもって執筆地獄。ホント、楽しみは風呂だけだったもの。ラッキーにも編集者のご厚意により、あの開高健や野坂昭如もカンヅメになったという別館で泊まり込みでガッツリ書かせてもらいました。文豪の霊が出る、との噂の館でしたが、寝ているウチに文豪が一章ぐらいゴーストで書いてくれないかな、と妄想していましたけどね。
本の内容は、現代に生きる女性を10の傾向に分類して論考、というもの。
どんな女が登場するのか、と、内容の一部抜粋は以下の通り。
●女装する女
売り上げのノルマや人間関係にアップアップするのが男女平等の仕事のリアルだとすると、女性はその機能と能率の仕事ワールドに、ネイルや下着などの肉体に即した治外法権な"遊び"が許されているのだ。仕事に打ち込みキーボードを打ちまくる手の先には、仕事とは全く関係のないムダな蕩尽としてのネイルがある。このゆとりの有る無しは、ストレス社会においては大きい。
●スピリチュアルな女
買い物症候群の女たちがいる。その理由は、たんにモノが欲しいという段階ではなく、その買い物の時間だけ、見ず知らずの店員にかしずかれる消費の女王になれるという一種の快楽中毒者だ。占いにハマる女子もそれと似ているところがある。「自分のことだけが100パーセント話題になり話され、他人が自分のことだけを考えてくれる占い時間」というものは、甘い蜜の味でもある。
●和風
昨今の和モノ嗜好の中には、セクシュアルな要素も潜んでいる。
一般的に活動的で外向的な洋に対して、和はおしとやか、静的というイメージがある。あけっぴろげに対してのチラリズムというか、いくら、幸田來未が全裸に近いコスチュームでセクシーを唱えても、陰影礼賛な和的セックス感は女性の心の中に綿々と続いているといってよい。
●ノスタルジー・ニッポンに遊ぶ女
現在でいえば、たけし軍団、みうらじゅん、リリーフランキー周辺など文化系男サークルの活動場所と、昭和居酒屋は大変に相性が良い。そのお仲間に入れてもらうことは、実は女性にとって未だに特権的な価値。昭和酒場には仕事の憂さを安価に晴らすオヤジ化した女子の場であることの一方で、最後に残った男のイバリを愛でる、という古典的な女の子視線も絡んでくる、というわけだ。
●ロハス、エコ女
今、時代は「働きながら子供を産み育て、なおかつ一生モノの誇りある仕事を続けて裕福」という女性像が理想である。ロハス、エコアイデンティティーは、「こんなんだったら、仕事止めなきゃよかった」、「あの時分の世間の空気に負けて、今は有職女性に対して鬱々としたものを抱えている」専業主婦のコンプレックスを一気に吹き飛ばし、時代の追い風もあり、優位にさえ立て、誰からも後ろ指を指されない最強の居場所なのだ。
●デイリー・エクササイズの女
何の予定も入っていない週末、テレビを付けっぱなしでダラ見して冷凍ピザかなんかでお腹を満たして、ソファからトイレ以外動かないことが丸二日続く。脳の意識だけは限りなく拡大して、自分の身体を忘れ去ってしまうような事態にすぐ陥ってしまう。そうなってしまうことの根源的な恐怖が私たちをしてジョギングシューズを履かせ、また、ヨガに走らせるのだ。
●大人の女になりたい女
ロールモデルが無いゆえにイメージだけの小林麻美的な「大人の女」しか持ち得なかった時代に比べ、現在はやっと様々な実例が揃ってきたがそのモデルにはかつての反作用か、相当に本物感が求められている。どういう事かというと、40、50は洟垂れ小僧であり、一気に70歳代以上、老婆と言われる年齢の女性にが次々とスポットライトが当たっているのである。
●表現する女
ベリーダンスは上達すると、レストランにて踊る"営業"の機会が他のダンスに比べて多く、会社生活とこれを両立させている女性も少なくない。上司や同僚もそれを知っていて、彼女のパフォーマンスを見にやってくるというのだが、会社では淡々と伝票処理を行っている地味めな部下が、突如として腰をグラインドさせてハーレムの女ヒョウに変貌するのを、彼らはどうやって理解&了解しているのか、心中察するにあまりある。
●子供化する女
バーベキュー、キャンプ、海、山遊び、アイスショーやサーカスなどのエンターテイメント、地域の行事や祭り、などなど、これみんな子供をダシにしなければ大人が無邪気には楽しめない事柄だ。恋愛もセックスもギャンブルも、大人の快楽特権が「実はそんなにオモロイものでもなかった」ということがバレバレになった今、最後に残った最大消費タームは、子供とともに子供の時間を取り戻す楽しさなのであった。
●バーター親孝行な女
現在は努めて子から親に親孝行というコミュニケーションやプレゼンテーションをしなければ、つながりを確認できないという不安がある。お笑い芸人、麒麟の田村裕の手になる『ホームレス中学生』には困窮した父から、「家族解散」を言い渡される彼自身と兄弟の姿が描かれているが、それがあり得ないことではない、ということを皆、無意識に感じているからこそ、熱のある親孝行モードが立ち上がるというわけだ。
ふ~。
まあ、本の方はこれの百倍の実例ネタと考察が入っていますので、新書700円の価値は大いにあると思いますので、皆様、このお正月休みの景気づけにどーぞ一冊お買い求め下さい。
そして、発売日の当日、丸の内カフェで今、注目の女性誌編集者お三方を招いてのトークショー+丸の内倶楽部21号館にて出版記念会を行いました。会の方はあまりキャパの無い会場だったので、逆に普段、近しくツーカーな方々というよりも、女性誌をはじめとしてメディア、代理店関係者などのマスコミ中心になってしまい、お声をかけられなかった方々ごめんなさい。
どんな様子かというのは以下の通り。
それにしても、この12月はハードすぎました。
明日、というか今日の17:30からは、青山ブックセンター本店にて菊地成孔氏をお迎えしてのトークショーです。
ご興味のある方はぜひお運び下さい。
左から、湯山、アンアン編集部、横山佐知さん、グラマー準備室編集長、軍地彩弓さん、
マリークレール編集部、高山祐美子さん。
客席にはカリアングの森本容子さんもいらしていました。バックレスのドレスで、バッチリ女装、だったなあ。
DJおよび、美人寿司ティガとして今回フォアグラ、およびトリュフ載せ寿司を作ってきていただいた寺本りえ子さん。
ワタシの美人寿司は屋号だが、これは本当の美人だ。
司会の関智氏。KKベストセラーズでなんと、このたび、谷村新司に小説「昴」を書かせた辣腕編集者。
その発表会、凄かったっす。近々、ご報告アップなり。
担当編集者の足立真穂さん。ブラッシュアップ、および校正時における的確な指示はものすごーく、助けられました。
大音量の美声にて淡々と業務書連絡、諸問題を解決するスゴ腕だ。
博報堂アーキテクト社長、大谷研一氏。出版のきっかけを作ってくださった。
左から野宮真貴嬢、ワタシ、グッチの静川ちゃん、NOEMIちゃん。女装しがちな女たち。
もりばやしみほさん。二月に一緒に中国、いくかも。
来年夏に発刊予定、「GRAMOUR」の編集長、軍地ちゃん、
日本で唯一のパーティーライターでもある、岡田ちゃん(ダイエットに成功し続けているのが凄い)、ハーパスバザー誌の吉村ちゃん。
エントランスが似合う男、冨沢ノボル。
手にしているのは、彼の手になる、例の「COVER」誌の湯山女装グラビア。
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