9月22日、恵比寿ガーデンホールにて、無事、野宮真貴リサイタルvol.3「Beautiful People」の公演が終了しました。
京都の祇園祭なみ、と私はこの夏、人々によく言っていましたが、今回は当日に至るまでに、ブティック「マッセメンシュ」の野宮嬢一日店長から、並木橋の古城「アマランス」のプレバーティー、ヴィヴィアン佐藤さんに仕切っていただいた、新宿二丁目の舞台宣伝行列ツアーとラストの非常口での「FANCY HIM」でのパーティー、名古屋文学会月曜会に招かれての読書会+トークショーと、盛りだくさんの衛星イベントがありました。
その頂点が「Beautiful People」だったわけですが、文字通りBeautiful Peopleに大いに支えられた今回でした。演出の林巻子さんをはじめ、音楽監督のキクチモモコ(菊地成孔+momokomotion)さん、衣装の丸山敬太さん、ヘアメイクの富沢ノボルさん、映像のニシモトタロウさん、振り付けの横町慶子さん、あと、参加していただいた方々すべてに深く感謝いたします。
まあ、野宮さん、今回は彼女の原点回帰というべき「着替える女」を20世紀のファッションアイコンに重ねて表現していったわけですが、これはやはり女性にとって、物心ついた時からの最大妄想のひとつではないかと思うのです。
しかしまあ、これまで女はそうとう、いろんな服を着てきたのですねぇ。
ゼルダのフラッパースタイルのドレスと、バルドーのレオタードにデニムの巻きスカート、両方位もかなり極端なモードですが、それを支持した当時の女性の心は、そのまんま、現在の東京の多くのブティックの試着室で自分の姿を鏡に映す女性たちの心と時空を超えて呼応します。丸山敬太氏が舞台で繰り広げた服の世界は、まさにそういった"秘訣"を体得している人の手になるものでした。
各時代に固有のファッションスタイルを求めたのは、もちろん着る女性の精神ですが、男性の視線というものもある。ひとつのモードが成立するにはその双方向の視線が必要だったわけで、舞台の野宮真貴が今回、着替えた時代の女たちはその服を着て、どういう恋愛のステージに飛び込んでいったのでしょうか。なーんて、感じたのは立った今、ananの赤西仁のラブショット付き恋愛特集を読んでいたからで、恋愛無き時代の冷徹かつ機能的かつ現実的な記事の数々には、かつてのような男と女、ファッションが三つどもえとなって繰り広げられていた、甘美な余裕などはもはやひとかけらも存在できないのです。
さて、「私は化粧する女が好きです。そこには、虚構によって現実を乗り切ろうとするエネルギーが感じられます」という名言を「青女論」にて記したのは、寺山修司ですが、化粧、これすなわち、ファッションであり、この言葉は舞台の野宮真貴と、観に来ていただいた観客の皆さんとの「共感=合い言葉」になりえていたでしょうか。
アフターパーティーは、オーナー松村さんのご好意で「トランプルーム」にて、大団円。名古屋文学サロンの山本さんが、中村うさぎさんを連れてきてきていただき、お初にお目にかかりました。想像よりもずっと小さくて、凄く可愛い。しかし、声と語り口は、完全にモノを書く人のそれ、で、なるほどと得心した次第。
あっ、それと、例の新宿二丁目ツアーの模様は「野宮真貴の二丁目ハーメルン」として、i-tuneのpodcastに上がっていますのでぜひ、視聴してみて下さい。これをつくっていただいた、ボッドキャストキング、早川洋平君ありがとう。
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