●4月11日 ジェラティンの爆笑石庭@小山登美夫ギャラリー
Dune編集長、林文宏さんとカワイイベイビーに遭遇。
ジェラティンno1の怪人、フローリアンと。この人のギャグセンスはヤバい。
以前、関西の高名な美術蒐集家と展覧会に行った時、李朝のふっくらとした壺を称して「どや、みごとなオナゴの”おいど”ぶりや!」と叫んだのをついつい思い出した、今回のジェラティンのパフォーマンス。そういえば、有名なラブホテルに「クィーンエリザベス石庭」っていうのがあったけど、そうニッポン人が名付けてしまう無意識のエロスをよくぞまあ、すくい取っていただきました、ですよ。
「アイディアは退屈から生まれる」をモットーに子供の悪ふざけ&批評精神を限りなく発揮している彼らの作品は、イタリアのArtegina山中に2025年まで展示されるピンクの巨大ウサギのぬいぐるみでも高名。これ、グーグルアースでも見られるので、これは必見。実は私、彼らとは古くからの知り合いで彼らの二作目の本「the b-thing」には、私、30代のパンチラ写真! が無断にて掲載されてしまっていたのでした(泣)。
メンバーのスポークスマンのAliは昨年まで、日本に友人のケリス・エバンスとプライベートで遊びに来ていて、この間日本に来たときは、カンテサンスでディナーをしたっけ。今回はお互い忙しく、ゆっくり遊べなかったのが残念でした。ジェラきっかけで仲良くなった、ウィーンのカップル、トーマスとオリバーもこの時期来日していて同行。彼らの知り合いも巻き込んで、この日のディナーは、在日ウィーン親睦会の様相を呈したのでした。
●4月19日 北海道は札幌にて、坂本龍一「out of noise」コンサートに行ってきました。
行くんだったらぜひ、地方公演に! ということで、今回のツアーは札幌めがけて行ってきました。アルバムの音的には完全に北のモードだし、会場の札幌コンサートホールは、サラウンド式のホールとして特に弦の響きに定評がある場所でもあるので、ハコの音響という環境もセレクト基準にさせていただきました。
前述、トーマス&オリバーカップルが日本周遊をしている最中だったので、お誘いしたら、上野から夜行電車で札幌入り。(外人観光客特権の凄いパスがあり、彼らは日本中、どこでも電車は乗り放題なのだ)さて、コンサートはマジで大変に素晴らしいものでした。この評については、別途、commonsmartなどで披露させていただくと思いますが、美しく豊かなメロディラインの才能をあらかじめ持っている人間とピアノというこれまた、饒舌な楽器を演奏するときの”抑制と間”を非常に感じました。坂本龍一さん、実はライブ巧者であり、私はバルセロナのソナーフェスティバルで、地元の交響楽団とラップトップとの共演を観て、非常に感じ入った過去があります。写真は、一曲だけ、写真撮影可の曲中にとったもの。ドビュッシーの近未来版ともいえる「Composition0919」に観客のケータイフラッシュと撮影音が波のように襲ってきて興味深い空間が出現していました。
打ち上げ夕飯に誘っていただき、「Φファイ」というイタリアンへ。ミラノのモダンレストランにあるようなインテリアに北海道の豊かな食材を使ったシンプルで力強いイタリアンを堪能。前日の夜のディナーはトーマスたちと有名グルメブロガーおすすめの地元割烹に行ったのですが、そのあまりにも「安いだろ&旨いだろ系生きのいい魚、刺身信仰」にガックリしていただけに、この店の存在は朗報でした。坂本龍一さんと対面の席だったので、けっこう話し込む。「今回はツアー最高の出来!」発言の直後のいつも思うのですが、オフテープの時に限って、深い話になったりするんですよね。前述の“抑制”問題やポール・ボウルズ話で盛り上がりました。
そういえば、その日の昼間は、トーマスたちと小樽散策をしたんだった。しかし、これでもか!というような、紋切り型の観光地商売ぶりにかなり失望しました。北海道、売りは大いにあるのに、本当にもったいない。小さくても発信型でおもしろい若い人の店、というのが皆無なのが原因かな。一度、アーティストレジデンスなんかのそっち方面の人の呼び戻しをやってもいいかもしれない。
翌日、トーマスらと別れて、終飛行機前に初の札幌ひとり寿司を決行しました。お目当てはすすき野の「鮨処 有馬」。八席あまりの小さい店ですが、新鮮な魚ネタだけにたよらない、北海道前を楽しみました。いい寿司屋さんですが、地の魚にちょっと驚くべきものがないかな、と。小倉の「もり田」で出会ったヨコワとか、唐津の「つく田」のホシガレイのような飛び道具がないんですよ。そういった、地方の恐るべき名店と比べると、少々おとなしい。しかし、これ、しょうがないかも。ウニ、いくら、ホタテって、美味王道は東京でも充分いいものが流通しているのですから。とはいえ、毛ガニの握りは旨かったです。隣にすすき野のホステスさんふたり組とゴルフ焼けしたお得意さんの四人チームがいて、やっぱり、女ひとり寿司に興味津々でチラチラこっちに視線が注がれる。ふとしたきっかけで仲良くなって、ジンギスカンの名店ほかのグルメ情報をいろいろ教えてもらっちゃいました。
終飛行機で羽田についたとたん、機内で声をかけられてびっくり! そこにはマン盆栽マスター、パラダイス山元氏の姿が・・・・。ななんと、彼はこのところ時間を見つけては飛行機を乗り続けるというものすごーくかつオタクな荒技を展開しているのでありました。ほら、鉄道ファンって列車を乗ることだけが目的の趣味旅をするじゃないですか。それの飛行機版ってコトなんでしょうが、はっきり言って、一日に東京、北海道を三往復なんてことをざらにやっているらしいです。
異様にこちらの心騒ぐのは、やっぱり高速に移動するモノに人間が長い間乗ってはイカンのじゃないか、という考えが浮かぶからかもね。しかし、一日に日本列島をいろいろな時間の光の中で眺めることができるのは、とてつもない体験かも。少なくとも、時間と距離の独自感覚はつかむはず。この様子は彼のブログにアップされているので今後も注目したいっす。
●4月13日 「あら輝」にて、フランステレビ取材と坂本龍一対談をこなす、スペシャル寿司デー
坂本さんが敬愛する赤塚不二夫作品が「あら輝」の付け台に上った日
コリーヌ・ブレさん仕切りで、フランスのカナル・プリュスというテレビ局(http://www.canalplus.fr/)が、寿司について世界的なドキュメンタリー報道番組を企画、実施するというので、もちろん「あら輝」をご紹介。日本の一流寿司店の若手代表格である荒木水都弘氏に一流店の仕事を尋ねるべくの企画で、私もちょいと出場いたしました。
取材時のサクラは、見栄えのいい通人をということで、プロデューサーの丸山泰通氏とインテリアデザイナーの樋口泰輔氏にご登場いただく。荒木さん、英語圏で仕事をしたこともあり、自分の仕事をきっちりと言語化できるタイプなので、カナルテレビの面々は相当に助かったようです。私も大学の講義並みに、華屋与兵衛、江戸の独身者率などを加えて、ニッポンが誇る寿司文化を語らせていただきました。カナルのディレクターによると、現在の欧米の寿司はそういった歴史性や地域性から切り離されているそう。だからこそ、世界ブレイクを果たしたともいえますが、体験的に日本の寿司のレベルは桁違いに高く、、海外にあまたいるだろう寿司ファンは、一度は日本で寿司、食べなきゃダメだと思う。
夜は恒例、坂本対談。今回は二回目ということもあって、大盛り上がりしました。しかし、この日は少々、エロ方面に脱線気味。この日、一発目に出された、信じられないほどの明石の鯛と磯のフレーバーがもはや香水の域の蒸し鮑の食感があまりにもねっとりと官能的だったからでしょうかね。坂本さんとの対談は、お互いの知識と考え方のカードを切り合うというバトル系ではなく、出てきた話題に関して自分はどう思い、感じたかの感性の披露となっていくのです。故・吉行淳之介の対談集のようになれば、いいな、とも。音楽についてもガンガン突っ込んでいますが・・・。重ねて言いますが、これ、今月からcommonsでHP連載していきます。
●4月21日 フランソワーズ・モレシャン叙勲式にフランス大使公邸に行ってきました。
敬愛なるモレシャンさんが、長年に渡って日仏の文化交流に貢献したことが評価され、フランス民間人では最高位でもある仏国家功労賞を授与されました。その叙勲式に招かれフランス大使公邸へ行ってきました。ハイプでスノッブな印象をメディアから持っている人も多いのでしょうが、彼女の実体はそれと間逆で、真に反骨精神を心の奥底にもちつつ、表層的ではない日仏比較論を語れる尊敬すべき女性です。女装する女の理想型、といってもいいかもしれませんね。
一度、バレエをお誘いいただいた帰りに、ご自宅でウォッカを飲んだのですが、その時の披露された人物批評の鋭いことといったら! でも、その鋭さをいつもユーモアとヒューマニティーと好キャラの鞘に収めていて大変にエレガント。ドラアグクィーンのお馴染み面子もお呼ばれしていたのも、モレシャンさんの面目躍如でしょう。ちなみに、カクテルパーティーに出された、昨今、スーパーで大変にお高い、チーズの種別てんこ盛り感はさすがにフランス大使公邸ってなものです。
●4月29日 坂本龍一対談、第三回目は「サロン・ド・グー」に、第四回目は「アモーレ」にて。
こういうお皿にトリュフ、というのが、ヤバいでしょ?「サロン・ド・グー」にて。
札幌から間髪入れず、の第三回目は坂本さんセレクトの西麻布にあるフレンチ懐石のレストラン。3年前、惜しまれつつ閉店した東京・飯倉片町にあったレストラン 『まっくろう』 のシェフとスタッフが立ち上げた店であります。料理のテイストは、もの凄く京都っぽい感じ。どういうことかというと、名うてのディレッタントたちが 美食の末に「やっぱ、俺らが食いたいのはこういう料理なんだな」という裸の欲望を洒脱なセンスで供す、というスタイルです。
さて、この日、最もビックラしたのは、突如、その席に現れた幻冬舎社長の見城徹さん。お隣で別の会食を偶然なさっていたらしいのですが、いやはや、もの凄いエネルギー。私の初文庫『女ひとり寿司』は幻冬舎刊行なのですが、もちろん初めてお会いしたのですが、伝説の出版人に、法外なお褒めの言葉をいただき、嬉しかったですよ! この後、5月5日には、「アモーレ」で第四回目が行われました。もちろん、この官能イタリアンは坂本さんの名曲「Amore」の本歌取り。この回は小説と美しい男の話に耽溺しました。
●5月2日 東京都現代美術館で開催中の池田亮司展 +/-[the infinite between 0 and 1]に行って来ました。
刻一刻と変わる膨大な演算数値と時間のインスタレーションは、まるで、目で見るクラブミュージック体験のよう。しっかりと鑑賞者に向けて構成されていて、こちらから歩み寄らなくても、コンセプトが向こうからビシバシとやってきます。ラストシーン(あえて、シーンという)に高速で順に明滅し波のようにうねる数字が急に静止することが繰り返されるのですが、そこのとてころが圧巻でた。動かない、静止という状態は普通ではなく極めて異常である、という感覚が直感的に分かってしまうのです。門前仲町の「魚三」で魚三昧。そのあと、新宿でギャランティーク一恵さんの店とソワレの店をハシゴして、見事に朝帰りでした。
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