これがホントのお目出とう、だ。どうも、フクロウ系だね。
こーんな、河原でひとりぼーっと。春は釣り、そして、夏には絶対に泳ぎに来るぜ!
弥三郎岳頂上の石舞台。
頂上の道標に100円玉、昭和19年発行を置いてきました。継ぎに行ったときにあったらすごいな。
湯山イン湯村温泉。掛け流しかつ飲温泉もできる優れ湯。
あけましておめでとうございます。
年明けに何していたかというと、実は山梨の昇仙峡にひとり旅してきたのでした。
怒濤の年末が終わり「ちょっくら海外でも行ってくるか」とHISに駆け込んだのですが、さすがに都合の良い空席は無く、あったとしてもここでこの値段ならばシーズンオフに行く、というパターンばかりで急遽、国内に変更。友人のスビリチュアリストに電話して聞いてみると「とにかく、西に行け」ということで、はじめは出雲大社だったのですが、それこそ、宿がぜーんぜん取れず、日本の桂林と言われる昇仙峡になんとなく決定。
いやー、良かったですよ。昨秋の高尾山行きが妙に面白く、もしかして、登山ってものすごく快楽度の高いパフォーマンスなのではないか、という予感が来ている今日この頃に、まさに決定打が打たれた正月でした。
変化に富んだ奇岩の数々とその間を流れる清流は河原に降りて、ぼーっとしているだけで脳にクリーナーをかけているがごとくの爽快感なのですが、何と言っても、ロープウェーで登った先から20分登山してたどり着ける、弥三郎岳が最高! これ、テッペンに巨大な岩がドドーンと乗っかっていて、そこによじ登っての頂上は四畳半ぐらいの岩場なのですが、快晴の空には富士山がくっきりと見え、周囲に高い山もなく四方ぐるりが一望できるという、いわば六本木ヒルズの展望台状態。
ちょうど富士山側に椅子みたいなくぼみができていまして、そこに腰掛けて、麓で買った甲州ワインをガンガンにたしなみました。この、空に吸い込まれていくような気分は、そういえば、昔、モロッコのワルザザードの砂漠でひとり岩山に登って過ごした時以来だよなあ。もの凄く、気に入ってしまった。高い岩と空、という、なんだかハイトーンな場所がどうもワタシ的にはすごーく気が晴れるみたいですね。今後、ここに何度も来そうな予感。
頂上の近くに小さなほこらがあり、武田信玄軍にも重用された弥三郎という酒の名醸造家が奉られていました。まあ、日頃、お酒にはいろいろとお世話になっているだけに、これもご縁かなと、小さいコップにワインを奉納。
懲りもせず、二日目も弥三郎岳メインでトレッキング。買って知ったる二度目は防寒のフリース系も用意し、今度は日本酒、開運の大吟醸を携えてゴー。長居の覚悟です。
そこでちょっと面白い実験をしました。何かと言えば、「この山頂に一番会う音楽は何か? または、音楽はこの場においてどういう聞こえ方をするのか」という、不肖、私目が『クラブカルチャー!』執筆以降さんざん主張しているポストクラブの「環境と音楽」実験です。もちろん、自然の音もこの山頂には充ち満ちているのですが、それは一日目に充分味わい済み。二回目はどうしても、いろいろと遊びたくなっちゃったんですね。
さて、結果は次の通り。
●ショパン/ ピアノコンチェルトN02 Fminer op21
これがベストワン! ショパンと言うと「雨音はショパンの調べ」だとか、ジョルジュ・サンドとかの恋愛沙汰でどうしても、映画のお気軽なサウンドトラックのイメージがあるのですが、この人の音楽には、これっぽっちも大衆的なところには無いことを確信しました。ピアノトリルが昼間の三日月に向けて空気の中登っていくという冒頭のワンメロですでに気絶しそうになり、それが、終曲まで続く。今後、この作家を紋切り型に感情やヒューマニズムでとらえると大間違いする、と思った次第。
●FOOG/ONE
エレクトロの中ではコレが一番。天に向かうベクトルよりも、重力を感じさせるソニックと音作り。さすが、岩山ってことですね。電子音とはもの凄く相性が良いようです。以前、夏のクラブフェスでこともあろうに富士山の神秘的な夜明けに「未知との遭遇」のにサントラをリミックスしてかけたバカDJがいて、とたんに富士山がペラッペラの銭湯の書き割りになってしまうという苦い経験があったのですが、これはそんなことはつゆほども感じさせない、自然のパワーに匹敵する音作りといえましょう。優秀。
●テイトウワ/Future listining
もの凄く好きな曲なのに、残念ながら弥三郎岳山頂には合わず。
●Christian Vogel/La Isla Piscola
コレも絶対合うと思ったエレクトロの才人もあんまりしっくり来ない。テイトウワとともに海系かも。地中海のグリーンの海の方がなんだか似合いそうなんですよ。シンガポールのセントーサで聞いた時は妖怪っぽくて良かっただけに、南方系かも。
●ぺぺ・トルメント・アスカラール/バターフィールド8
これも合ってましたね。とろけるようなストリングスの昇天感はむろん、実は意外にも菊地成孔の高速サックスと金属的な響きがもの凄く山のエネルギーとフィットする。思えばジャズを育てたニューヨークも岩盤の上にたつ都市だし、岩山も摩天楼だと言えないこともない。都会という形容詞を外しても、ジャズ、全然、イケルじゃないですか。キース・ジャレットアプローチじゃなくとも。
●Tamba4/We and sea
ブラジル出自のボサノバのハードコアはどうかな、と思いきや、コレも案外と合いましたね。そういえばリオデジャネイロも岩盤都市です。
●ダイアナ・ロスとシューブリームス/Aint no Mountain higj Enough
ワタシの葬式に絶対かけてもらいたい一曲は、もう歌詞からして山系ですが(笑)、山のてっぺんで聞くと小躍りしたくなるほどエネルギッシュで快楽的。実際に小踊りました。これと、同類項はアンルイスの「恋のブギウギトレイン」。双方とも歌い手はパワフルな女声。山の神っていうぐらいだから、女の声は山のパワーと相性が良いのかしらん。
●バッハ /ゴールドベルグ変奏曲 グレン・グールド
山じゃない。強いて言えばどこでもない。ベッドのフトンの中。もしくは、一流寿司やフランス料理を食べているときの微分積分の舌とともに。
●フォーレ/ レクイエム
あのとろけるような旋律が山の冷徹な空気に合わないのではという心配がありましたが、そんなヤワな曲じゃなかった。やはり空、天上に向かうベクトルは健在。この曲が持つ底知れない美しさと力は頂上から見える現実の世界すべてを祝福するようです。やっぱり、凄い曲。
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